観光地にある、持ち歩きできる手軽さが評判の、とある屋台の従業員は思った。
「忙しい時期だけでいいから、時給を上げるか、臨時ボーナスがほしいよ、まったく!」
やってもやっても終わらない、笑顔で接客できていない自分にも気付けないほど、どんどんやってくるお客さま。そこに加えて、他の従業員が自分の思うように動いてくれない。自分ばかりが忙しい気がして、イライラだけが溜まっていく・・・。
そんな日々を過ごすうちに、その従業員はとうとうオーナーに訴えた。
「オンシーズンだけでもいいです、時給をあげてもらえませんか?」
そこで返ってきたオーナーの答えはこうだ。
「じゃあ、オフシーズンは時給を下げてもいいかい?」
❝そんな!そんなのフェアじゃない!!❞ 声には出さなかったが、顔には出てしまった。
オーナーは続けてこう言った。
「どんなに忙しくても笑顔で接客することも仕事だよ。君はそれができているかな?
うちは、この業界の相場から外れた時給ではないし、君が担当している業務も、そんなに難しいとは思わないよ。時給をあげてほしい理由は、本当に忙しいというだけかな?」
そう言われて従業員は気付いた。❝オーナーに求められている仕事もちゃんとできていないのに、自分の要求ばかり通そうとしていた。自分の方がフェアじゃなかった❞と。
―――― 飲食店に限らず、繁忙期、閑散期のある仕事にはよくみられる場面です。
この従業員の問題点の1つは、自己理解不足です。自己理解、自己分析というものは、自分が思うほど簡単ではありません。どうしても他人の評価がないと気付けないことが多いからです。
そして、時給や給与は、忙しい時も、そうでない時も、両方を含めた金額です。会社が求める業務ができていない内は、自分の要望など通るはずもありません。ちゃんとできていたとしても、経営者側からすれば、「できていて当たり前(だから支払う給与)」なのです。
一方、企業側の問題点として、従業員の仕事に対する評価システムがない、あったとしても、評価に応じた昇給、報酬になっていない場合が多いということです。
このようなシステムになっていない原因として、評価する目を持つ管理職がいない、または育っていない、いたとしても、そこに私情や、仕事には関係のない理由(勤続年数、年齢、独身であるなど)が加わり、誰もが納得できる評価がされていない、などがあげられます。
このようなことが原因になって、優秀な従業員から辞めてしまうという事例が少なくありません。どんな職場も、双方の納得のいく環境にしていきたいものです。
『そのためにはどうすればよいか?』
なんだか身に覚えが・・という方、ぜひ『カウンセリング』、『コンサルティング』、受けてみてください。
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